Triangle続編【ステップアップ10title/challenge10title
Step Up
03. そっと抱き締める - 2 -





エドワードとアルフォンスは、小さな街ではあるが立派な蔵書数を誇る図書館があるという噂を聞いてある北の街に来ていた。

噂どおりそこには貴重文献が数多く揃えられており、1週間は留まるだろうと考え、図書館のすぐ側の宿にチェックインしたのだ。
通い始めて3日目、図書館まで歩く道すがらトラブル誘引体質の二人は目の前でスリに合った老女を助けるべく二手に別れ、いつも通りの大捕り物を繰り広げ、その場で警察に引き渡す事になった。

軍部に面倒を掛けたくなかったし、毎度自分達の身分証明に無駄な時間を割かれるのが嫌な事もあり、何も言わずにその場を立ち去ろうとしていた姉弟が助けられた老婆にしがみつかれ、どうしても礼がしたいと泣かれてしまえば、断れるはずもない。
結局事情聴取は行われ、納得をしない警察に銀時計をポケットから取り出し見せた。

何が過去にあったかなんて知らない、知りたくもない。
しかしその街の人々は軍を激しく嫌悪しており、当然のようにエドワードを『軍の狗』と罵る。
通り掛かった婦人からはトマトを投げつけられ、子供達には小石をぶつけられた。
軍の人間が皆良い人だとは実体験から思ってはいないが、皆が皆そうではないと知っているエドとアルにとってそれは心に激しい傷を負わせ、しかし己の力を知っているが故に反撃もできなかった。

無抵抗の軍の狗を気晴らしに使おうと街のゴロツキが唾を吐きかける。
流石に抵抗しようとしたアルフォンスをエドワードは抱きしめ止めた。

ぶつけられたもので顔も髪も衣服も汚れ、石で傷つき、それでも警察は見て見ぬ振りを続けるのだ。
苦虫を噛み潰したような表情で。


「結局宿も追われて、近くの川で汚れを落としました。」

「………そうか、辛かっただろうな。」

「いえ、ここまで酷いのは初めてでしたけど…今までも無かった訳ではないですから。」

力無く答える答えるアルフォンスも、姉の心配ばかりしているが傷ついていない訳では無いだろう。
なんでこんなに心優しい子供達に…。

「助けてやった婆さんは?」

「あ――――。お前達なんかに助けられる位なら死んだ方がマシだった………って。」

「そ…んな…エドは、」

胸が痛い。どうにもならん痛みだ。
俺はこの焦燥感をどう発散させれば良いかも判らず、乱暴に壁を殴った。

「糞っ!!!!」

「少尉…。僕も姉さんも軍人さんが皆悪い人だなんて思ってないから、だから…。」

判ってる、判ってるよアルフォンス。
だから余計苦しいんだろ?

神様はなんでこいつらにこんな酷い仕打ちをしやがるんだ。


俯くアルフォンスの頭をがしがしと振り回し、俺は笑った。
引き攣っていたかもしれない。
それでも笑って見せないといけないと思った。

「お前も辛かっただろ?大将の事は俺と大佐に任せとけ。
で、お前は今日はホークアイ中尉とデートだ。」

「ハボック少尉……お願いします、お願い…します…。」

「おう!お前も楽しんで来いな!」

「はい…。」





怒りと、悲しみとか、混乱とかそんな色んなものを叩きつけるように、俺は椅子から立ち上がり部屋を後にした。

小会議室の廊下の突き当たり、今一番力になってやれるあの人がくだらないお小言を言われているだろう大会議室を睨みつける。






「大佐、今日は早く終わらしてくださいよ…。」












俺達の最初の試練。







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なんちゅー街の連中だ、許せん。
頑張れハボ。早く終わらせろ大佐!

pana 2005/10/28








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