Triangle続編【ステップアップ10title/challenge10title
Step Up
03. そっと抱き締める - 1-





駅構内の雑踏であの姉弟を見つけるのは案外容易い。
俺は平均よりかなり身長が高いし、アルフォンスも確実に頭一つでる身体だからだ。

イーストシティの駅まで車で迎えに来ていた俺は、案の定すぐに彼女等と合流することができた。


「よう、おかえり大将、アルフォンス!」
「あ、お久しぶりです♪」
「ただいましょうい。」

いつも通りの挨拶を交わすが、やっぱりエドワードの声に覇気が感じられない。
心なしか顔色も悪いかもしれないな。


「ハボック少尉、なんだかすいませんお忙しいのに。」
「いや、愛するエドと可愛い弟分の為だからな、全然苦にもならねぇよ?それに、今回は上官命令付きだから安心しろな?」
「大佐にも気を使って頂いちゃったんですね。」

アルフォンスはちらりとエドワードに視線を投げる。
大佐がエドワードに元気が無いのを察した事に気付いたんだろう。

明らかに口数が少ない少女を見ると、心ここにあらずのようでぼんやりと別の方向を向いていた。

「アル、あとで何があったか話せ。どうせ姉ちゃんは聞いても言っちゃくれねぇだろうからな。」
「でも…。」
「大佐も心配してる。絶対悪いようにはしねぇよ。」
「ああ、それは…信用してます。じゃあ後で…。」

右手を挙げてよろしくと言うと、弟はこくりと頷いた。

「ほら、エドしっかりしろ。行くぞ?」

そっと背中を押して促すと、黙って歩き始めた。





エドワードは車の中でも一言も口を開かなかった。
俺は運転している事もあって、エドにだけ意識を向けていられなかったので構ってあげたい欲求を抑えた。

ぽつりぽつりと会話をするのは俺とアルだけ。
後で覚えとけよ、エド。甘やかしてやるから。

「今日は午後から仕事休みなんだ。お前等せっかく帰ってきたんだし食事にくらい付き合えよ?」
「少尉のご馳走ですか?」

おどけて答えるアルフォンスも姉を想ってそうしているに違いない。

「任せとけって!大将は何食いたい?」

窓に肘を付いて外を見つめたままのエドは、目線だけこちらに向けて口を開いた。

「俺…いいや。食欲ねぇ…。」

一応会話は聞いていたらしく少し安心した。

「姉さん!だめだよ、朝だって昼だって食べてないじゃないか!」
「やっぱりか…。」

ばつが悪そうに視線を逸らされる。

困ったもんだな。ミラー越しにアルフォンスに苦笑して見せ、俺は運転に専念することにした。





東方司令部の正面に車を止め、専用駐車場へ運ぶ為に姉弟を降ろす。
先に中に入るように伝えると再びアクセルを踏んだ。

あの調子じゃ気晴らしにどこかへ連れて行くのも無理だろう。
だったら司令部に連れてきて気心の知れた人間の側にいたほうがいい、そう思った。

顔色が悪いエドにもしもの時、ここなら仮眠室もあるしな。


キーを所定の位置に戻し、自分も二人の後を追った。

どこへ足を運んだかは知らないがとりあえず礼儀正しい弟がついている限り、最初に司令室に行くだろう。
いつもより心持大股で歩き、そこへつくと案の定アルフォンスが帰還の挨拶をしていた。

「アル、大将どうした?」
「あ、姉さん顔色悪いからって挨拶したら中尉が執務室へ連れて行ってくれました。」
「そっかそっか、じゃあ大丈夫だな。よし、アルちょっと行こうぜ。」
「はい…。」



俺はアルフォンスを連れて小会議室に入った。
向かい合い椅子に腰掛ける。

咥えていた煙草に火をつけると、アルは俺が何を聞くまでも無く話しはじめた。





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ちょっと短いですが、この章続きます。
切りが良いので。
続きは少々お待ちを。

pana 2005/10/24








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