Triangle続編【ステップアップ10title/challenge10title
Step Up
0.1 告白から始まる





本当に久しぶりに良く眠れたみたい。
禁忌を犯したあの日から、悪夢に魘され心配したアルフォンスに起こされる事が多々あった。眠る事のできない弟に心配をかけぬよう、あんな夢は見たくないと思う気持ちもあったし、自然と浅い眠りを繰り返すようになっていた自分。
結局悪夢を見なくてもこんな風に悶々としてしまうなら、やっぱり眠りは浅い方がいいな、なんて…。


頭はスッキリしているのに、でもなんだかまだ瞼が重たくてうとうととまどろみながらそんな事を考えていた。
ごそりと身じろいで、なんだか身体が異様に重たい事に気付く。
足元と、お腹のあたり。
違うな、掛けている毛布が重いんだ。ずっしりと二箇所。

そういえば昨日自発的にベッドに入って眠った記憶が無い。
もしかして整理していた荷物とか置いたまま寝てしまったのかもしれないと俺はうっすら目を開けて擦りながら上半身を起こした。



「―――――――っ?????」


な…何だこの状況。
ベッドの脇には椅子が二脚と大人が二人。青い軍服を着て椅子に腰掛けたまま俺の眠っていたベッドに突っ伏してる。
足元に金髪、腹の所に黒髪。


「………。」


なんか思い出してきた。
昨夜の出来事。
俺はこの二人に愛を告白されたようだ。
あの時、本当に慈しむように温かい二つの大きな手が俺の頭を撫でるから、気持ちよくてうとうととしてしまって…。

寝たのか…寝たんだな俺…。

二人共大好き。そう返事したはずだ。
それは俺の中で間違いない真実。
それでもいい、と優しく微笑んだ二人の顔がついさっきの出来事のように脳裏に浮かんで俺は激しく赤面した。

穴があったら入りたい。
この人たちが起きたら俺は何て言えばいい?何を言われるんだ?
火照った頬をどうにかしたくて両手で頬を包み込んで膝に頭を乗せる。くそ、逃げ出そうか…。

そろりとベッドから抜け出そうと動いた時、二人がほぼ同時に目を覚ましてしまった。
あー、もうだめだ。逃げられない。



「おはよう、鋼の。」
「起きたのかー。おはよう大将。」



心なしか目の下に隈が見える。ぼんやりした顔で、でも蕩けるような優しい笑顔で、彼等は俺に朝の挨拶をしてくれた。



「お、おはよう…。」



膝から目線だけ上げて言うと、満足げに頷いている。


「ずっとここに?」
「ああ。君が目覚めるまではいようかと思ってね。」
「昨日の俺達の愛の告白が夢だと思われたら困るからなー。」


さっきなんて比じゃない程顔が熱い。
俺はどうにか二人の視線から逃げたくて、また顔を埋めてしまった。


「覚えてるかい?」


なんて悪戯っぽく片目を瞑る大佐。


「なんならもう一回言おうか?」


腕を組んで爽やかに歯を見せて笑うハボック少尉。


「覚えてるから…モウイイデス。」


身の置き場が無くて、恥ずかしくて俺は毛布を思い切り頭からかぶった。

二人が動く気配。
驚かせないようしてくれてるのか、優しい足音。

ぎしりとスプリングが弛む音がして、俺のすぐ隣に誰かが座ったのを感じた。

「君はお腹を出して寝ると以前アルフォンスが言っていたが、本当だったんだね。」
「なっ!見やがったのか?!」

慌てて毛布を引き剥がし真意を確かめようと顔を上げたら、本当にすぐ側に二人がいてにこにこ笑ってる。

「冗談だ、昨夜の君はとてもよく眠っていたよ?」
「まぁ出してくれるならお腹も見たかったけどなぁ。」

騙された。
もうこれ以上顔赤くできねぇ。
毛布をぎゅーっと握り締め拗ねて唇を突き出すと、すまんすまんと同時に頭を撫でられ、昨夜の手もこんな風に気持ちよかったなって少しだけ気が緩んだ。

「おはようのキスがしたいな、いい?大将。」
「あぁ、それはいい。ほっぺでいいからさせてくれないか?」
「うっ…。」

ほっぺくらいならいいだろうか、なんて俺はすぐ脇に腰掛けている大佐とその横に立っている少尉の間に顔を寄せた。
ほぼ同時に落とされた唇は、触れるだけ。ちゅっと可愛い音をさせてすぐに離れていく。
くすぐったいようなこそばゆい感覚。



俺本当にこの二人の事同じくらい大好きなんだなって確信した。
アルが大好きなのとは明確な違いがあるけど、沢山いる仲良しの人達ともやっぱり少し違うみたい。

難しい。
はっきり判らないけど、なんだか嬉しいんだもん。
アルとしていた『おはようのキス』は当たり前で今更感動なんてなかったし、親族以外とはしたことないからなぁ。


「うーん。」
「どうした?」
「嫌だった?」


大の大人があまりにも情けない顔で心配げに覗き込んでくるから、思わず考えていた事も忘れて噴出してしまった。


「違うよ。嫌じゃなかったから考えてた…。」


くすくすと笑いながら、「うーん」の中身を教えてあげる。


「嫌なはずないさ、だって君は『二人共大好き』なんだろう?」
「なんか…嬉しいんだけど。」


反応が全く違うんだな。
嬉しそうだけど、さも当然って感じでふんぞり返る大佐と照れて頭を掻く少尉。
あー、こういうのいいなって普通に思ってしまった。
だってあんまり二人が自然で、こうして二人に愛されているのは当然の事なんだって態度で見せてくれるから。





「俺も…嬉しいみたいだ。」





恥ずかしかったけど、でも何か態度で示したくて。
俺は二人の軍服を引っ張ってちゅっちゅとキスをしてやった。





END
お題を使わせてお借りして、Triangleの後のストーリーが始まります。
甘いお話になる予定です。
ちなみにこのシリーズ内ではエロは出てきません。本当にごめんなさい(´ρ`)

pana 2005/10/17








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