拍手御礼連載小説
『ロイ・マスタングの試練』





失敗したかもしれない…。






『一緒に寝てくれないだろうか?』






欲望のままに口にしたその言葉は、今凶悪なまでの甘美さで私の首を締め上げている。

―――――――真綿のような柔らかさで…。






目の前、本当に唇を突き出せば触れ合える程の至近距離に彼女のそれはあった。
小柄なくせに、まるで大切なものを守るかのように私に腕枕をし、満足げに寝息を立てるその呼吸すら甘い。
伏せられた睫毛は長く金色の影を落とす。
ぎゅうと密着した身体は、驚くほど柔らかく、小振りではあるが乳房の感触も生々しい。






人それを『蛇の生殺し』と言う。





惚れた女を抱きたくない男なんていない。
ましてや私は初恋なのだ!
他人が評価する『初々しい』という言葉は股間にも適用されるようで、目を瞑ってみても彼女のシャンプーの香りだけで10代の反り返りを見せているだろう。

眠れようはずもなく、私は理性と死闘を繰り広げている。



視覚的にやばい、触覚もやばい、嗅覚も耳を掠める呼吸音すらもが危険信号をガンガンと鳴らし続けた。




―――――――――――生き地獄だ…。




開かれない瞳に感謝しつつ頬は紅潮しまくっている。

羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹、羊が五匹、羊が………………羊が千二百四十三匹………………だめだ。

硬い軍服の布地に覆われた股間は、早く開放しろと言わんばかりに痛みを伴う膨張を繰り広げ、まともな意識を保っていられるのもあと少しだろう。



はぁ〜。
諦めよう、向かい合うんだこの状況と!




か…可愛い!!!!!!!




「鋼の………。」

名を口にしてみる。
そうだ、私は犬なんじゃないか!
可愛い可愛いエドワードの犬なのだ!だったら少しぐらい悪戯したって怒られたりしないだろ?
さっきだって舐めても喜んでくれたじゃないか!


ごくりと喉仏を上下させ、私は無防備に晒された白い首筋に恐る恐る舌を這わせた。


べろり……。


くすぐったそうに竦められる首。
全身に鳥肌が立った。


「鋼の…鋼の…。」


調子に乗った私は犬のように、でも心は欲望まみれで彼女に貪りつく。

耳の裏を、頬を、瞼を唾液でべちゃべちゃになるまで舐め続けた。




くすくすくす…耳に響いた可愛い笑い声、起きたのか?
私はビクリと身を固めた。


とろんと片目だけ微かに開いた彼女は、私と目が合うとにこりと微笑み、私の頭を抱きしめる。

「可愛いなぁ大佐は…。」

「はがねの…?」



私の耳をくすぐる吐息。
意趣返しだとでも言わんばかりにエドワードは私の耳に噛み付いた。


「―――――――――っっ!!!!」


びりりと走る快感。






「たいさ?どうした?」

「………はがねのぉ……。」





さぞや情けない顔をしているのだろうな。
でも私のパンツの中はもっと情けない事になっているのだ。




年甲斐も無く、耳への甘噛みだけで果ててしまった………。











ずっと抱きしめていて欲しい、私だけを見て欲しい…。





でも――――――――。













今だけは一人にしてくださいご主人様!!!!!





END
あーあ…出ちゃったよ…。
初恋って怖いワァ…。(私の脳内だけかもしれない)

pana 2005/10/29






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