エド子長編にするつもりなかったのに長編。
Only For You,Only For Me act.7





もう既に触れているくせに、至極神妙な顔で俺を見上げるロイ。
いい年した大人のくせに目元を赤く腫らせて、ぎゅうぎゅう抱き締める手は緩む事を知らないよう。


「エド、その…口の中を見てもいいだろうか…?」

そんなつもりなく奥歯で噛み切った口の中、そういえば血は止まったみたい。
最初一回吐き出した後は話しに夢中で飲み込んでたんだな。

「ん、ぁ。」

ぱくりと空いた口、覗き込んでも見えないのだろう、顔を色んな角度に変えて真剣な顔してる。



この人でもこんなに人間らしい表情できるんだな。
見た事無かった、じゃなくて見ようとしてなかった。

いつもよくできた劇中のように幸せと温もりを受け取っていたから。


「鋼の、舌をべーしてくれないかい?」
「あ、ぇー…。」


口を開いたまま舌を精一杯伸ばすと、漸く傷が見えたのか顔を顰めて小さく溜息をつかれてしまった。

「…すまない。痛かったろう?こんな思い詰めさせてしまったなんて私は馬鹿者だな。」

物凄い至近距離で切なそうな顔するから、舌もそのままにふるふると頭を振る。






―――――もう絶対こんな思いさせないから。

そう囁くとロイは俺の舌をちゅうと音を立てて優しく吸い上げた。

「…っぁ!?」

舌先に受けた甘い衝撃に目を見開く。
無防備に晒されているそれを伝ってロイの厚みのある舌が口内を犯し始めた。
逃げを打つ事も許されず、好き放題暴れるそれは器用に右頬裏の傷に辿り着くとそれはそれは愛しむ仕草で舐め上げるから、普段ならできる呼吸すら忘れてしまい息苦しさに目を閉じた。

「……ぁんっ……。」

傷を離れて何度も角度を変えて繰り返される口付けは甘く、思考を蕩かす。
眩暈にも似た感覚。真っ白になりそう。


「っは…ぁ…ろいぃ…。」


やっとの思いで紡ぎだした言葉はまた彼の熱い口内に吸い込まれてゆく。


どれくらい続いたのだろうか。
今までこんなにも情熱的なキスを交わした記憶は無い。

力の入らない手でロイの軍服の胸元を掴むと、大きな掌で包み込まれそれにも口付けを落とされる。
もういい、愛してくれてるの解ったから。
これじゃ全身力が抜けちゃうよ…。

舌がもつれて声にもできず、今にも零れ落ちそうな涙の滲む瞳で必死で訴えた。

「ろ…ぃ…。」
「まだだ、まだ全然伝わってないよエドワード…。」


そんなことないのに、こんな熱い気持ちも唇だけで火照る身体も知らない…。
考える事さえ放棄しそうになる頭をふるりと揺らし、震える小さな舌を自分から絡ませる。

「…おれ…のきもちもつたわ…る?」

合間を縫って息も絶え絶えにそう言うと、ロイは何度も何度も頷いた。








『愛してる、俺だけに触れて下さい。』






透明な糸を引いて唇が離れる。
交換しあった唾液はお互いの喉に飲み込まれていたが、それでも零れ落ちた雫が俺の顎を伝う。
ロイの舌が優しく舐め上げるから、俺はくすぐったくて首を竦めた。


胸元に縋り付いていた両手をロイの背中に回すと、もう離さないと言わんばかりの力で抱きしめてくるから、息苦しさも嬉しくて頬を摺り寄せる。

軍服の厚い布越しであるにも関わらず、触れ合った場所全てが熱い。
頬も、胸も、腹も全部を押し付けて、このまま燃え尽きてもいいとすら思った。

「エドワード、愛してる。君だけだよ。愛してる…。」

馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返される睦言に、うっとりと目を閉じた。
耳に響く甘いテノールが初めて素直な気持ちで耳に入ってくる。
心地良い。


「ロイ…もっと呼んで…ロイの声すき…。」

「エドワード…エドワード、君が望むだけ…っ!」

見上げれば涙は止まったようだけど、まだ心なしか目尻を赤くしているロイ。

「エドワード?」
「ん?」
「抱いてもいいかい?」

勿論と言いたいところだけど…。

「アルが戻ってきちゃうかもしれないから…。」
「アルフォンスなら司令部で仕事を手伝って泊まって行くと言っていたよ?」
「………。」





じゃあ抱きしめてください。





俺は初めて自分からロイにキスをした。





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つーぎーこーそーはー!!!

pana 2005/10/25








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