20万HIT記念集中連載06-2







空は高く澄み渡っていて、鼻歌も飛び出すほどのデート日和。
待ち合わせ場所に珍しく早く来る事が出来たロイは、上機嫌で公園の中に目を配る。
平日という事もあり、遊んでいるのは未就学児ばかり、付かず離れず母親が見守っていて、微笑ましい事この上ない。

今は情勢が落ち着いていて、内乱だの戦争だのに駆り出される事も当分無いだろう。
こんな穏やかな日々が続けばいいと思う。

いや、できれば愛する恋人ともっと濃密な関係になって、彼女がこの街に戻って来る度にめくるめく倒錯的な愛の確認作業ができたら尚最高だ。


傍から見たら穏やかに微笑んでいるようにしか見えない、このイーストシティ一有名な伊達男は、表には一切出さずに不埒な妄想に耽っていた。
ちらちらと年若いマダム達の視線が集中していて、その誰もが騙され頬を染めている。
「顔が良いというのはそれだけで得をしていてずるい!」と、いつだったか告白した女性にフラれたばかりの某少尉が言っていた。
まさにその通りである。


時計の下、腕を組み佇む男は何時も街中で視察をしている時に見るのとは違い、珍しく私服を身に纏っていた。
可愛い恋人に合わせてラフな格好にしたつもりなのだろうが、質の良さは隠しきれずに悪目立ちするばかり。

それはそれで気にするべき所なのかもしれないが、如何せんエドワードがそんな事に頓着するようなタイプでは無いお陰で、誰一人として突っ込む人間はいなかった。

頭上に大時計があるというのに、ロイはポケットからベルトに鎖で繋いである銀時計を取り出し時刻を確認する。

待ち合わせの11時から5分が経過していた。

軍務の関係でロイが遅刻する事は多々あったのだが、エドワードが遅刻した事は過去一度として無い。
少々不安になり、きょろきょろと周囲を見回す。

すると公園の入り口からこちらに大きく手を振って、大股で駆け寄ってくる少女が見えた。

自然と笑みが浮かんでしまうのは致し方ないことだ。
いつもと同じ格好で、真っ赤なコートを翻し、蜂蜜色の三つ編みをぴょんぴょん揺らす姿は可愛いらしいとしか言いようが無い。
少年と偽って旅ができるのも、もうそろそろ限界なのではないかと不安になるほど、デートの時のエドワードは女の子だった。


「大佐っ!遅れてごめん!!」

「気にする事は無い、私も今来た所だよ。」

「うそだ、だって駅前からずっと見えてた…。」


長距離走ってきたのだろう、エドワードは息切れ一つせずに普通に喋る。
ちょっと鍛えすぎなんじゃないだろうかと身長が伸びない原因の一端を思ったが、敢えて口にはしなかった。

それより…。


「駅前から?」

「だって駅からここまで大通り一直線で良く見えるもん。」

「………そう、か。君は目も良いんだね。」


こくりと頷く少女が言った駅というのは、ここから直線距離にして1kmは軽く離れた場所にある。
見通しが良い大通りの突き当たり同士とは言え、まるで大平原かジャングルかどこかの原住民のような視力の良さ、エドワードの中に野生を見た気がした。


「どしたんだ?」

「や…最近本を読んでいると時々目が霞んでね、視力を分けて欲しいと思ったんだよ…。」

「老眼か?」

「君ね…私はまだそんな歳では無いと思っているんだが?」


本気でむくれ、肩を落とす大人の恋人にエドワードは幸せそうに微笑む。
エドワードだけに見せるこんな表情が、彼の息を抜かせてあげられているのだと、幸せな気持ちになるから。

ホークアイに聞くと、サボり癖は未だに抜けきらないものの、女性とのデートは一切辞めてしまい、仕事もそこそこ真面目にこなしているらしい。
エドワード効果だと喜ばれるのだが、久しぶりにイーストシティに戻って二人きりになった時の、ふにゃふにゃなロイしか知らないので、どうにも信じ難い豹変振りに思えた。


「あ、大佐目の下に隈発見。」

「君にもあるじゃないか…また睡眠時間を削ったのかい?」

「お互い忙しいからな…。」

「そうだね。でもこうして執務をこなしていれば、突然帰ってきた君の為に時間を融通できるから、私は平気だよ?」


ぽん、と瞬間湯沸かし器のように、一気に首まで真っ赤に染まり上がったエドワードを、真正面からぎゅっと抱き締め、頬に唇を落とした。


「ぎゃ!こんな往来で止めろっての!!」

「私は気にしない。デートの時間は限られているのに触れられないなんてそれこそ地獄だよ。」

「あ………。」

「エディ?」


突然俯いて黙り込んでしまったエドワードは、もじもじとコートの裾を弄ぶように弄繰り回していて、そういえばと周囲を見回すと、そこにあるべき姿が無い。

ロイは少しだけ身を離し、背中を優しくさすりながら小声で問いかけた。


「エディ…デートと言えば必ずどこかでこちらを監視していたアルフォンス君の姿が見えないんだが…。」

「……今日は、帰って来ても僕いないからゆっくりしてきていいよって……。」

「!!!」


それは…、それはもしかして…アルフォンス君公認のGOサイン??


「エディ…。」

「だから、門限なしなん――――っ!!」


最後まで言葉を紡ぐ事はできなかった。
強く広い胸の中に、窒息しそうなほどぎゅうぎゅうと抱き込まれ、肩口に顔を埋められる。


「むっぐ…ぐるじ…っ!」

「今日のデートの予定は取り止めだ…家に来ないか?」

「たい…さ?」

「今、すぐ!」


緩まった腕。
エドワードもロイの肩に頬を寄せた。
ロイの鼓動はとても早くて、でも負けない位自分の心臓が高鳴っている自覚もあって。

ぎゅっと目を瞑り、こくんと一つ頷く。






昼にはまだ早い公園の時計の下。
歳の離れた恋人同士が頬を染めて抱き合っている姿は、人の目にとても初々しく映っていた。


初エッチをこれから致そうとしているなどと、誰も知らぬが故に。







おまけ3
お題提供元様→



次は初エッチ編。
panaさんのロイってエッチだけは有能ですよね、とか以前何回か頂いたコメントにありましたが、今回はどうなるんでしょうか(笑)
一緒だきっとorz
公園では初々しく。頂く時には美味しく頂きましょう。
今日のUPは遅くなっちゃってすいませんでした!


2007/4/15 pana








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