| 場繋ぎ小説軍人エド子 無題(考えてませんでしたorz) |
| ※このお話はパラレルでエド子さん軍人、ロイの上司であります。年齢設定はそのまま。苦手な方はどうぞお戻りくださいませ。 国家権力の中枢をこんな子供に担わせて…と思わずにはいられない、そこにはそんな光景があった。 エドワード・エルリック、15歳、国家錬金術師で銘は『鋼』…そして国軍准将。 書面だけではただの書類不備で笑い飛ばせたものを、当人を見てそんな気すら失せた。 そこには金色の髪と瞳、華奢な身体を持ち、天使のような容貌の―――――――――小さな少女がいたのだから。 「大佐ー!まーすたんぐたいさー!」 私は米神をひくりと痙攣させ、声の発生源に目を遣った。 来客用であるところの3人掛けのソファはごろりと無作法に横たわる少女には随分と大きく、仮眠を取ろうとした自分が同じ体勢をした時無様に足が飛び出してしまうであろうそこにすっぽりと収まっている。 さも不機嫌そうに愛らしい唇を突き出し、私を呼び続ける上司は軍服の襟元を寛げて、まるで遊びをせがむ子猫のよう。 「エルリック准将…何故貴女はここにいるんですか?」 苛立ちで震えそうになる声帯を絞って、極力落ち着いた声で問う。 昨日からこの東方司令部に配属されてきたばかりだというのに、なんという順応力なのか。 既にこの司令部にいる軍人、準軍人まで根こそぎ少女の虜のようだ。 人懐っこい笑顔に、堅苦しさの無い喋り、そしてその稀有な美貌は見るものに色々なものを与えているらしい。 あのクールビューティーと謳われたホークアイ中尉までもが、誰も見た事の無い優しい微笑みで彼女にお茶と菓子を出しているのだから相当なものだろう。 「准将!!」 返事が無いのを訝しみ書類から漸く目を上げる。 文句を続けようとして、言葉を失った。 小さな准将は真っ赤な顔をして俯いていたのだ。 惚れさせたか?と普段から女性から引く手数多の私は一瞬馬鹿げた妄想に囚われたが、違ったらしい。 その表情は嬉しいような、悲しいような、とても曖昧で、形容し難く、こんなこと滅多に無いであろう私の胸を痛ませた。 しかしそんなのは一瞬で、何故こんな大人の怒鳴り声一つで感情を曝け出すような子供を軍属に…ましてや准将などという将軍職につけたのだと憤りすら感じる。 その謎はもう暫く後に当人の口から明かされる事になるのだが、この時の私には怒りしか浮かばなかった。 常に上を目指している私なのだから、彼女がどんな経緯でこの地位まで登りつめたとしても苛立ちばかりが先立ってしまうのは仕方がないだろう。 不躾で意地の悪い表情をそのまま顔に乗せ、重たい溜息を零す。無論わざと聞こえる様にだ。 「准将…ご用件があるなら手早くお願いします。無いのならご自身の執務室にお戻りください。生憎私は暇ではないのです。」 「あ、うん…ごめんなさい…。」 目の前に山積みにされている書類は全て私が視察や巡回と称して脱走し、サボった結果なのに酷い言い草だと内心哂う。 優秀な副官殿がこの場にいて聞いていたら間違いなく銃を抜いていただろう。 エルリック准将はがばりと音がする程の勢いで上半身を起こし、とんと地面に足をつけた。 あながちお飾り准将ではないのだというのが、体術を心得ているのであろう端々の動作と美しい姿勢から窺い知れる。 しかしそれを裏切るような子供っぽい仕草でてこてこと入り口の扉前まで歩き、立ち止まった。 不覚ながら、心臓が一つ大きく鳴を立てる。 僅か顔を向け、こちらに投げてきた切なげな視線に。 私は何がしたかったのだろうか、まるで立ち止まらせたいかのように立ち上がり、手を差し伸べていると気付いたのは静かに扉が閉められた後だった。 悪い事などしていない、言っていない自信があるというのに胸に蟠る罪悪感。 何が言いたかった?どうしてそんな瞳で私を見る? 濡羽色と持て囃される漆黒の髪をがしがしと掻き毟り、ちっと舌打ちしてみたが、子供相手に大人気ないとなんとも後味の悪い気分だ。 執務を続けようと椅子に再び腰を落ち着けても、散々たる結果しか残せない。 ミスした書類を無造作に丸め、ゴミ箱に投げるものの既に山盛り溜まっていた同じような紙くずのせいで横に零れて落ちた。 納得がいかないのは経歴だけではない。 何がどうあっても大総統命でこの上下関係が崩せないのならば、お互い一度腹を割って話す必要もあるだろう。 本来ならば上司であるエルリック准将の仕事であるが、経験の浅さからそこまで頭が働くとも思えず、それなら私が動くしかあるまい。 だるさを孕んで重い腰を上げ、部屋を後にした。 目指すは准将専用の執務室なのだが、その前に副官に理由を話しておくべきだと判断する。 書類は遅々として進んでおらず、不在の間に確認にでも来られたら戻った時どんな地獄を見せられるか判ったものではないのだ。 直属の部下達が詰めている司令室に一歩踏み入れると、そこは不思議な空間だった。 なにやら不穏な空気が流れていて、仕事中であるはずの副官を初めとする部下達が部屋の片隅に設えられている簡易休憩所の衝立の周辺に固まっている。 何か重要な問題でもあったのだろうか? のそりと近づきながら、とりあえず用件のみを済ませてしまおうと神妙な面持ちで何か悩む風情のホークアイに声をかけた。 「ホークアイ中尉…ちょっとすまん…がぁぁぁぁっ???」 凄まじい殺気に、条件反射で飛び退く。 中尉は顔を見るなり脇に掛けていたホルスターから愛銃を抜き、戸惑いも見せずに私に向けて弾丸を放ってきた。 「ちょ…「中尉やめて!」 「止めないでください准将!!」 心底訳が判らず呆然とその場を見守っていると、ゆっくりソファから立ち上がり私の前に背を向けて立つ幼い子供。 両手をいっぱいに広げているのは私を守るという意思表示なのだろうか? 「俺なんもされてねぇもん!なんで怒るんだ中尉?!」 「マスタング大佐の執務室から出てきてから明らかに元気がございませんでした。」 「だからって何で大佐のせいになる?俺別にいつもと変わんないぞ。」 「何かあったかどうかは別として、確かに大将はあっこから出てきてから元気なかったッスよ?」 「中尉、銃を下げろ…命令だ。」 エルリック准将は周囲を震撼とさせる程の凛とした響きでホークアイの動きを制した。 納得いかないと私を睨む目は未だ射殺さんばかりだが、渋々と銃を下ろす。 「本当に何もされてないんだよ?心配してくれてありがとう…。」 どんな表情でそれを言ったのか、目の前の私を敵視していた部下達の顔がまるでマシュマロにでもなったかのようにほにゃりと甘く蕩ける。 是非その顔を見せて欲しいものだと思ったのも束の間、くるりと高めの位置で結い上げられたポニーテールを跳ね上げ、こちらに振り返った。 「お仕事の邪魔してごめんな?俺大佐と…と…友達になりたかったから…っ!」 「友達っ?」 真っ赤になって俯く准将と、それだけは辞めたほうがいいだろうと焦り始める部下達。 まさか本当に私に惚れてしまったのだろうか?そうだったとしたら何て罪作りな男なのだろう…世の男性諸君すまない。 なんて思考は次の言葉で裏切られた。 「だってセントラルでも有名だったんだ!マスタング大佐には友達がいないって…上の人達にも沢山虐められてるって…。」 「は…?」 「間違えではないですね…。」 さらりと副官に肯定され益々言葉を失う。 全くどんな冗談だ?友達くらいいるぞ、親友もいるし…あれ?親友以外………ん? ま、まぁいないけども!大人だから別に気にはしてな…か…ったんだが? 「だから大佐が俺と仲良しになったら他の奴らにも文句言わせないしって思ったんだけど…迷惑だよな?こんな子供じゃ…。」 「しかしなんで大将はそんなに大佐を?」 「お…俺も、あっちで子供なのに将軍なんてっていつも馬鹿にされて…虐められたりしてたし…と、友達なんか一人もいなくっ…うぇ…」 「エルリック准将!!」 「と、友達…っ…いないのさみし…からっ…大佐もさみし、かなっ…て…ふぇぇぇん…」 軍服の泥除けをぎゅうと握り締めた手は力を込めすぎて白くなっている。 膜のように涙が黄金色の瞳に溜まり、濃厚な蜂蜜のようにとろりと揺れた。 瞬きひとつで零れ落ちたそれは、金色を引き継ぎほたりと落ちて青を群青に染め変え乾燥しきった私の心にまで潤いを与えてくれる。 無性に愛しく、守ってあげたくなるような、そんな気持ち。 どんな思いでこの子は今まで軍人として過ごしてきたのだろう。 気を許せる人間などいなかったのだろう事は、この姿から窺い知れた。 私はこんな子供に気を許してしまっていいのだろうか? そんな戸惑いから、部下達を見回してみれば、貰い泣きしているフュリーをはじめ信頼を置く者たちが彼女を心配して手を差し伸べようとしている。 軍という汚泥の中、光りを求めて彷徨っていた連中が心を寄せるのだから自分が思っていた感情など本当に大人気ない嫉妬だったのだろう。 そこで漸く肩の力を抜き、エルリック准将に向かい合った。 「准将…。友達になるにはもう少しお互いを理解し合う必要がありそうですね?」 「………マスタングたい…さ?」 濡れたままきょとと見上げ、首を傾げる仕草に心の奥底がドキンと高鳴る。。 ちょっと!皆さんこの上司めっちゃくちゃ可愛いですね!!! 今更ながらの感想に自分でも驚いてしまった。 嫉妬というフィルタを外して見た少女は、この世のものとは思えない愛くるしさで、将来どこに出しても恥ずかしくない美女に変身するであろう事は間違いない。 年齢は守備範囲外だったが、罷りなりにも上官で、そんな美少女からの『お友達からお願いします』は願っても無い事ではなかろうか。 例えばだ、彼女から地位と資格を差し引いて残った部分を考えてみよう。 ……………うん。イイ。 むしろ最高?生涯私の横に並んで歩ける…理想の女性(まだ子供)。 私は彼女の前に跪き、泥除けを握ったままの手をそっと外してやった。 両の手を覆う純白の手袋の上から優しく口付けを送ると、慌てて手を引かれてしまい、逃げた温もりに寂しさすら感じる。 どうやら私は本気のようだ。 いやむしろ か な り 本 気 だ 。 「大佐?どうかしたんスか…?」 どうもこうもあるか。親睦を深めなければ!いやそれどころかもっと身体の奥の奥まで…。 「大佐…まさかと思いますが准将はまだ…。」 目下の敵は君になりそうだね、ホークアイ中尉。でも大丈夫、私は負けないよ? 不敵に微笑む私に恐怖を感じたのか、ホークアイを除いた部下達は少しずつ距離を取りはじめこそこそと部屋を出る。跪いたまま反応を見守る私と、逆に反応に困って固まったままのエルリック准将、先の展開によっては再び銃を引き出すのであろうホルスターに手を掛けた、それでも微妙に顔色の悪いホークアイ中尉のみが残っていた。 「友達になるなら私は貴女を何と呼べばいいですか?」 「エルリック准将でいいのでは?」 「あ、いや…別にエドでもエドワードでも…そのままでもいいよ?」 「大佐、さりげなくにじり寄るのはお止めください!」 「じゃあ、エディで…。」 「エディ??なんだそれ…女っぽくて気持ち悪いけど…。」 私の耳は既にエディの声しか聞き取らなくなっていた。というか敢えて聞こえない振りしてみた。 何かを考え込んでいるエディとの距離を少しずつ縮め、再び右手を取る。 「俺はマスタング大佐を何て呼べばいいかな?」 「じゃあロイと呼んでください。」 「ろい…ロイね、うん判った。じゃあロイ、よろしくな!」 重ね合わせていた手をきゅうと握られ、ほんわりと笑う。 あまりの可愛さに声すら失った。 どうやらホークアイですら中てられたらしく頬を染めて両手をだらりと降ろし惚けている。 今だ、今しかない! 「それではエディ、貴女の執務室で少しお互いを知り合う為にお話でもいかがですか?」 「うん、いいよ♪俺とっておきの紅茶淹れてあげるな!」 「それは…光栄です。」 あくまでも紳士な態度を崩さぬようエスコートし、司令室を後にする。 部屋の外には先に逃げ出していた連中が固まって中を覗いていたらしく慌てて敬礼の姿勢をとった。 私は一瞥だけくれてそのまま通り過ぎようと、優しく腰元に手をまわした。 ふと立ち止まるエディ。 やはりまだ早かったか? 「ちょっと大佐借りて行くな!後よろしく♪」 「あ、ハイ…。」 満面の天使の笑顔にかろうじて声を発せたのはブレダだけだった。 腰に回した手はお咎め無し、というかそれを掬い上げてぎゅっと手を繋がれてしまう。 さっきも思ったけどやっぱり柔らかい………っ!! ニコニコ微笑い続ける少女を少しだけやに下がった目で見守りつつ、私たちは准将執務室へと歩いていった。 (多分5分後くらいに死闘が繰り広げられます/笑) 尻切れでEND |
| 33333HITのtomo様のリクだったはずが、書いている内に全くエロが入らない事に気付き急遽書き直し(笑) 勿体無いので体調が戻るまでの繋ぎにUPさせて頂きました。 甘いっていうかエド子馬鹿だろこれじゃ(笑) 脳内設定では、この時点でエドとアルは身体を取り戻してます。 楽しんで頂けたら光栄です。あー早くいたいのとんでけ…。 pana 2006/2/3 |
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