| ロイ×エド子短編(既にシリーズ化?) 小悪魔志願 未来展望・後編 |
| ※黒アルが苦手な方はすぐさまUターンしてやってください、お願いしますorz 「さぁ、アルフォンス君お願い。」 司令室を包み込む緊張感に、僕は漸く事の重大性に気付き、ヒヤリと無い肝を冷やした。 皆の目が心なしか殺気で血走っている。 あんなに可愛いくて綺麗な姉さんが額から血を流し、グッドタイミングにも涙を浮かべ(僕の思惑通りだよ、グッジョブ姉さん!)大佐に縋り付いたんだもの、当然といえば当然なんだよね。 ましてやここの人達は、普段の行いはともかくとして、あの案外騙されやすい上官を心酔しているし、その人の大切な女の子なんだもの。 しん、と静まり返った司令室、大佐の腹心達が僕の説明に聞き耳を立てている。 皆が姉さんを傷付けられたのを心から怒っているのがびしびしと伝わってきて、なんだか凄く気分がよかった。 当然だよね、だって僕の大切な可愛い可愛い可愛い可愛い姉さんのよりによって顔を傷付けた犯人を許せるわけが無い。 ここの人達だったら僕の手を汚さずに、あの糞野郎に最大限の報復をして貰えるんだ。 まぁ、僕的にはいっそ殺してくれちゃってもいいんだけどね。 僕は心痛と怒りも露に、多少の嘘と誇張を交えつつ、今回の事のあらましを説明した。 「酷い!正義感溢れるエドワード君に対してナイフを振うなんて!」 「許せねぇなぁ。」 「ちぃーっと痛い目あわせとかんと気が済まねぇ。」 普段温厚で笑顔を絶やさない曹長と2人の少尉が重々しく口を開く。 准尉が閉じているのか開いているのかも判らない視線を中尉に向けた。 「大佐の指示を仰ぎますか?」 「いいえ、大佐にはエドワード君に付いていて貰いましょう。既に許可は下りているわ。」 全員が黙って頷いた。 「管轄は警察です。番号は×××-××××−×が直通ですが此方で身柄を引っ張りますか?」 「ではファルマン准尉、連絡をお願い。ハボック、ブレダ両少尉は今すぐ警察署へ向ってちょうだい。到着までには引き取れる手筈まで整えておきます。フュリー曹長は私とここで待機よ。」 「「「「Aye, Mom!!」」」」 それぞれが機敏に動き始める。 皆が持ち場へ散ったのを確認し僕はホークアイ中尉の軍服の袖を小さく引っ張った。 「あ…あの、すいません何だか…。」 「いいのよ気にしないで。エドワード君も貴方も私たちにとってはとても大切なんですもの。」 にっこりと微笑む中尉にすまなそうに肩を窄めて見せる。 「ありがとうございます。」 「うふふ…。未来のファーストレディの顔を傷付けた代償は大きいのよ?」 「ファースト…レディ?」 「そう。彼女程の適任者はいないでしょ?美しくて聡明で、何より強い。誰に守られるでもなく己を守り、そして他人も守れる子。エドワード君の存在が大佐を何より大きなものにするわ。」 貴方の計画のお陰で、大佐は人生の素晴らしい伴侶を見つけたって事よね。 と、ホークアイは静かに言ってのけたのだった。 気付かれていたのか。 あまりの事にぼんやりとしてしまう頭を軽く振り、動揺を気取られぬように中尉と向かい合う。 この人は僕なんかより何枚も上手かもしれない。 「将来、大佐は必ずエドワード君を選ぶわ。ううん、もう選んでる。その時貴方が私たちの仲間になってくれたら…それは最終的にエドワード君を護る事にも繋がると思うのだけど、どう?考えておいてくれるかしら?」 世の中には上には上が居るのだと、この時僕は初めて知った。 この人は僕に軍に下れと言っているのだ。 最愛の姉と、その夫となる男を護るために。 僕のささやかな(?)計画は既に彼女の中の壮大な野望に組み込まれている。 その意味とこれからの事、総てひっくるめて計算してみても、僕になんら損は無い。 だって大佐が大総統になるっていう事は、この世から戦争が無くなるってことだと思うから。 かしょん。 音を立てて頷いた。 「姉さんは既に大佐に惹かれ始めています。間違いなく相思相愛だ。僕達の旅が終わるまで姉さんを護ってくれるなら、僕は身体を取り戻したら国家錬金術師の資格を取りましょう。」 「これでこの国の未来は安泰ね。」 差し出された、女性にしてはがっちりとした手に僕は鋼のそれを重ねた。 白だか黒だかもう既に判別のつかない密約を交わし終えて直ぐ、大佐と姉さんが司令室に戻ってきた。 額の傷は塞がったのだろう、ガーゼを当てられるだけに留められている。 2人の手はしっかりと繋がれていて微笑ましい限りだ。 「中尉、報告を。」 「はっ。」 大佐は繋いでいた手を優しく僕の方へ押し出すようにし、姉さんはそれに促されるようにとてとてと僕の方へ歩いてきた。 本当に姉さんは可愛いなぁ。 あの人にあげちゃうのは勿体無いと思ったけど、中尉を筆頭に素晴らしい部下に恵まれ、姉さんの心まで射止めている(本人にまだ自覚は無いが)あの男が、この国のトップに立つ事はまず間違いなくて、そう考えたらこのままくっついてしまえば最高のお相手、ってことで。 僕は未来のファーストレディの手を取り、それでもまだもう少しだけ僕だけの姉さんで居て欲しいと小さく祈った。 「何度も言うようだけどキス以上は許しちゃだめだからね?」 もうちょっとだけでいいから。 「馬鹿アル。そんな事したら大佐が犯罪者になっちまうじゃねぇか…。俺なんかの為に…そんなのやだぞ…。」 本当に鈍感な姉で助かるよ。 頬を染めて、そんな悲しそうな顔しちゃってるのに、それでもまだ自分の気持ちに気付かないなんて。 「帰ってすぐにあの事件だもの、姉さん疲れてるんじゃない?執務室で少し休ませて貰ったら?」 「うん、そうすっかな。」 僕は姉さんの手を引いて、今回の事情と、今後の事を話し終えたらしい大佐の元へと歩み寄った。 「さ、姉さん。僕は中尉達のお手伝いしてくるからね。」 手を離すのは僕から。 姉さんから離されるのは、なんだか辛いもの。 「大佐、姉さん疲れているみたいで…少し執務室で休ませてやって貰えませんか?」 「勿論だとも。」 差し伸べられた大きな手に、小さな手が重なる。 それはまるで、定められた未来の光景。 「ああ、そうだ。後で犯人の事情聴取の為に私は少しだけ席を外すから、その間はアルフォンス君が傍についていてくれるかい?」 「大佐が自らされるんですか?」 「勿論、私がするさ…。」 優しげに細められていた闇色の瞳がゆらりと焔を纏ったような気がした。 「宜しくお願いします。」 「たいさ…あのな、犯人殺さないでくれよ?」 「君が悲しむような事はしないから安心しなさい。」 「良かった。」 安心したのだろう、姉さんは眠たそうにこてんと大佐の腕に頭をぶつけ、すりすりと擦り寄せた。 それを素でやってるんだから姉の鈍感さにはほとほと感心する。 黙ってい2人を見守っていた僕と中尉は目の前の光景に思わずげんなりと背を向けた。 大佐の鼻の下が伸び切った顔を見るのが耐えられなかったから…。 未来の大総統の鼻の下は間違いなく7cmは延びると踏んだ。 その日の夕方、東方司令部には夥しい数の銃声と爆発音が鳴り響き、近所の住民を震撼とさせた。 一仕事を終え、満足げな軍人達をよそに、僕は彼らの破壊し尽くした取調室であったであろう場所を錬成で元に戻し、証拠隠滅をして、姉さんと予め中尉が予約しておいてくれた宿に向った。 むっつりとした少女と、浮き足立った巨大な鎧が肩を並べて歩く。 姉さんと僕の輝ける未来が約束されたある日の出来事である。 前編/END |
| 前編をリンク忘れのお詫びに後編もUPしちゃいます! 実は更新後急いででかけなければいけない用事があったのですよ。 皆様のコールに気付くのが遅くなって本当に申し訳ありませんでした。 教えてくださった沢山の皆様に感謝いたします。 pana 2006/9/13 |
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