ロイ×エド子短編(三部作予定だったはず…)
小悪魔志願 side:E
※黒アルが苦手な方はすぐさまUターンしてやってください、お願いしますorz





















可愛いとばかり思っていた弟アルフォンスの腹黒い一面を垣間見たあの日、成功など在り得ないと高を括り、どうせ有耶無耶の内に終わるだろうと確信していた計画に片足どこをか全身を突っ込んでから早一年が過ぎた。

いじらしく見える仕草、上目遣いの瞳、照れを滲ませた言葉遣い。
日々血の滲むような特訓は繰り返される。

それもこれもあのボケカスロリコン無能の変態佐がそりゃあもうすっかりコロリと馬鹿みたいに騙されてくれたからに他ならない。
だって普通は気付くと思うじゃねぇか!
イシュヴァールの英雄って本当は嘘だろ…。

















「お帰りエディ!!」


広げられた力強い腕と暖かく包み込むような厚い胸板、声は優しく耳に響き、漆黒の瞳は甘やかで…。


「た…だいま、たいさ♪」

「何も無かったかい?君に触れようなどと言う不埒な輩は?怪我などしていないだろうね?食事と睡眠はしっかり摂っていた?」


矢継ぎ早に繰り出される質問に一つ一つ答えてゆく。
無事を確認するように触れてくる指先は頬を、首筋を、肩を、腰を滑り降り、小さくてまだ魅力の欠片もなさそうな尻へ。


「今回は大丈夫。変な事するおじさんいなかったよ?」

「ああ、良かった…。」


嬉しそうに細められた瞳に胸はどきんと大きく跳ねる。

カミングアウト後、初の帰還の時、俺は南方司令部のとある准将にされたセクハラを報告した。
大佐よりも地位が上でだというのもあり、言わないでいいかと思っていたのだが

「そこでむしろ報告だよ!!大佐きっと甘えてくれてると思って舞い上がると思うんだよね、僕。」

空洞のはずの目をギラリと光らせ(俺にはそう見えた)そう嘯くアルフォンスに従って報告してみたところ、奴は無能の奥に隠された鋭い爪を垣間見せたのだ。

図書館と軍部と宿を往復していたイーストシティ滞在三日目、執務室のソファで俺の三つ編みを解き、指先で弄びながらロイ・マスタングはうっとりと微笑み、陶酔を滲ませた声で言った。


「可愛い君に触れた准将ね、昨日退役願いを提出したそうだよ。まぁもうお年だったしな…何時までも権力にしがみ付いているのが馬鹿らしくなったのかもしれない。」


くつりと咽喉を鳴らす振動に、俺は全身の毛穴という毛穴から汗が噴出すのを感じた。


「何をしたの?」
と問いかけても
「何も?よしんば私が何かをしていたとしても、それは君が知らなくて良い事だよ。」
とかわされ、途方に暮れて後ろに控えていたホークアイ中尉を見たら、愛しむような慈愛に満ちた優しい微笑みで俺を見つめていた。
右手はまるで健闘してくれた部下を労うかのようにホルスターを撫でていて…俺は最凶の主犯を知ったのだ。






俺が女だという事は、大佐の軍閥にのみ伝えられる事になった。
見て解るほどの違いは無いものの、やはり皆どこか態度が柔らかい。
子供扱いどころろの騒ぎじゃない、少女扱い(それは些細なものなのだが)に不満を漏らす俺とは裏腹に、アルフォンスはとても満足気で、しかも既に知れ渡ってしまっているという事実は覆せる訳もなく、計画は澱みなく進んでゆく。


「ああ、エディ…君に会えない間どれだけ私が寂しかったか解るかい?」

「ん…ごめんなさい…。」


しゅん、と俯いてみせる俺の迫真の演技に、大佐はだらりと鼻の下を伸ばし、顔中にキスの雨を降らせた。
アメストリス一の伊達男の異名はあの日から影を潜め、「とうとう年貢の納め時、大佐殿にも本命ができたらしい」というのは、街でリサーチしてきたアルフォンスの言葉だ。

俺は伸びた鼻の下を指先で撫でながら心の中で叫んだ。


アンタその顔やばいって!まじで男前が台無し!!!




大きな執務椅子、俺は腰掛けている大佐の膝の上に乗せられ、書類が終わるまで離して貰う事ができない。


「もうあと少しだからね?そうしたら食事にでも行こう。宿までちゃんと送り届けるから。」

「…うん。」


頬を染めて見せれば、今度は頭のてっぺんに唇が寄せられた。
顔を赤くする為に、最初の頃は凄く苦労して息を止めてみたりしたのだが、最近は自然と出来るようになっていて、これも特訓の賜物なのだろうかとしんみり思う。

とくんとくんと心地良い心臓の音に耳を寄せていたら、急激に眠気が襲ってきた。

いいや、このまま寝ちゃえ…。


「…たい、さ…ねむ……。」

「寝ていて構わないよ?終わったら起こしてあげようね。」


「あり…がとぉ、たいさだいすき…。」


すり、と目を瞑ったまま胸に頬をすり寄せる。
今にも崩れ落ちそうな俺の身体を丁寧に抱き直してくれる優しい掌。


「愛してるよ、エディ…。」


俺の意識はそのまま柔らかな波に浚われていった。
























「姉さんってホント鈍感…。」


鎧の巨体が執務室を覗き込みながら肩を竦める。


「でもま、全部僕の計画通りだし。ま、いっか♪」

るんるんと機嫌よくステップを踏み、裏庭のブラックハヤテ号の元へ急ぐアルフォンスを見た者はいない。
全てが彼の掌の上だと気付いているのは、鷹の目を持つ最凶の女ただ一人である。





END
掌の上で転がされているエド子さんはうっかりロイロイに惹かれているようです。
気付いてませんけどね(笑)

pana 2006/6/15








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