鋼の同人作家
※このお話しはパラレルでフィクションです!!!!それがちゃんと認識できる方のみスクロールお願いいたします。
























































「兄さん、今日の搬入って何冊なの?」

「あー、新刊一冊だからなぁ。3000だったか?」

「何で疑問系なのさ!兄さんが入稿したんでしょ??限定あったよね?」

「うん、16ページのペラ本だけどな。そっちは1000位だったような気がする。」

「何で全部曖昧なのーーー???」


イベント当日、何時も通りの朝の風景。
兄さんは個人サークル『Fullmetal』の作家だ。
僕は一人では本を並べる事すら覚束ない兄さんを売り子として手伝っていて、今日はアメストリス最大のオタクの祭典、コミック・アルケミスト三日目。


「まさかと思うけど今日の売り子って僕と兄さんだけじゃないよね?」

「まーさか。ウィンリィが来てくれる筈だぜ?」

「良かったー!あんな列僕一人でなんて捌ける訳が無いもん!」

「またあのいけ好かねぇスタッフに嫌味言われちゃ敵わねぇからな。」

「もう!スタッフさん達だって大変なんだから手煩わせちゃった僕らが悪いんだよ?やめなよね、そういう言い方…。」


腑抜けた兄さんを嗜めつつ、セッティングは完了。
まだ一般入場始まってないのに何でいつもこんなにサークル周辺に人がたまってくるかな…。

印刷屋さんが運んできてくれた山積みのダンボールを見上げて溜息をつく。


「おはようごさいます!見本誌回収でーす。」

「あ、おはようございます。これ、お願いします。」


予め用意しておいた新刊を手渡すと軽いチェックが入る。
兄さんの本は凄く人気があって3日目壁際配置の男性向けなのに、成人向けではないから毎回何も起こらない。
エロなしなのになんで売れるのか最初は不思議だったけど、兄さんの絵はふんわりしてて可愛くてストーリーもしっかりしてるし当たり前なんだよね。

勿論毎回出版社の人が名刺を持ってきて、スカウトなんかもされるんだけど絶対に商業誌には手を出さない。そんな潔いところも僕は尊敬してたりするんだ。


「はい、ご協力ありがとうございました。」

「いえ、今日はよろしくお願いします。スタッフさんたちも頑張ってくださいね♪」


僕の営業スマイルに、むさくるしい軍服を纏ったマーミーマニアらしき小太りの男は頬を染めて照れていた。
ていうか立ち去る気配が無いのはなんでだろう?

もじもじと言い澱みながら、腕章を弄ぶ姿に僕は正直少しイラついた。


「あの…。」

「なにか御用ですか?」


男はことさら小さな声で僕に囁く。


「取り置き…お願いできますか?」

「は…ぁ…?」

「断る!!!」


朝早く出てきたからまだ寝惚けているのかと思ったんだけど、兄さんは耳聡く彼の言葉に反応したらしい。


「ぼ…ぼぼ…僕はスタッフだぞ!」

「だからどうした?」

「ちょっと大手だからって生意気なんだよ!ぱっと出のくせに!!」

「へぇ、コミケミの基本理念はスタッフも一般もサークルも全員参加者じゃなかったっけ?何?お前カタログとか目を通してねぇの?」

「………っ!!!二度と参加できなくしてやるからな!」


僕は正直オロオロしていた。
兄はこうなったら絶対引かないだろうし、彼の言っている事が事実だったら次からの参加も危ぶまれる。


「にいさ…「そこまでだ。」

「あ、てんめぇロイ・マスタング!!」

「マスタングさん!!」

「貴様名前は?」


僕の言葉を遮り、高圧的に兄に食って掛かっていたスタッフを黙らせたのはロイ・マスタングさん。
このホールのホール長さんをやっている人。
何回か前、まだ兄さんが同人誌を始めたばかりの頃に、兄さんの才能を見出し、わざわざスペースまで来て『絶対キミは大手になれるよ』と太鼓判を押してくれてからの付き合い。
嫌味な物言いと態度が兄さんと合わないのか、いつも衝突している。
でも僕から見たらマスタングさんは兄さんを愛を込めてからかって遊んでいるだけのようにも見えるんだけどね。


「貴様にサークルの合否をどうこうできる権限があるのかね?その割には私の知らない顔だが。」

「す、すいませんでした!!」

「取り置きはサークルさん達の気持ちだ。我々が強要する権利はない。」

「はい。二度とこんなことは…「その話しは後でゆっくりと、だ、仕事に戻りたまえ。」


そそくさと逃げ腰の男を冷たい瞳で見送り、マスタングさんは僕達の方へ振り向いた。
満面の笑み…。
ここまで変われると芸人の域だと僕は思う。


「相変わらずのトラブルメーカーだね、このサークルは。」

「マスタングさんありがとうございました!」

「悪かったな…。」

「おや?鋼の、いたのかい?小さくて見えなかったよ。」

「だぁぁぁれがダンボールに隠れて見えない程の豆粒どちびかぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

「に、兄さんそこまでは言ってないけど、こんだけ積み上げてたら兄さんは間違いなく見えないよ。」

「アル…(泣)」


半年振りに会ったっていうのに、何でこの二人はこうなんだろう。
たまには仲良くしてくれたら僕の胃はこんなに痛まないはずなのに…。


「兄さん少し大人になりなよね?いくら背の事言われたからって助けてもらった事実は変わらないでしょ?」

「流石だね弟君。」

「あーはいはい。解った解った。」

「どうかね、鋼の。そろそろ私と携帯番号とメアドの交換でもしないか?」

「は?何言ってんだアンタ。」

「今夜二人きりで打ち上げでも…。」

「しねぇ!!」


それきりぷいとそっぽを向いてしまった兄。
僕はなんだかマスタングさんが可哀想で、そっと兄の携帯番号とメアドを書いて渡してあげた。(←人として絶対やっちゃいけません)

うわ…凄い綺麗な笑顔…。
もしかしてマスタングさんて本気で兄さんの事好きなのかな…。
でもそれってウィンリィが大好きなホモの世界なんじゃないの?
ってあんなふうになっちゃうわけ?

早速後悔し始めた僕の手に、小さな紙切れ。
ぐいと押し渡されたそれにはマスタングさんの名前と携帯番号、メアド、ご丁寧に住所や家族構成まで書いてあった。


「彼の携帯に隠れて登録しておいてくれるかね?」

「え、あ、でも…。」

「あとで干潟保護募金の未使用ポスターあげるよ?」(やっちゃいけないとおもうよ!!)

「やらせてください!お願いします!!」


僕は一も二も無く返事をしてしまった。
仕方ないじゃないか、今回のポスターは僕が大好きなサークルHeavy smokerのハボックさんが描いてるんだもん!
絶対二次創作しか描かないって有名な人なのにオリジナル描いたんだよ!!凄いんだから!!

こうして僕らの契約は成立し、ポスター一枚の為に兄を売る羽目になったのだった。





END
某こみぱとは一切関係ありません。
何故なら読んだ事ないから(笑)。
突発でこんなんですんません!!

pana 2006/1/1








(C)2005 Only 4u<Pana> All Rights Reserved