駄目 act.2





走り去っていった台風の後は散々たるもの。
テーブルは少しの衝撃、ハボックの足音程度で真っ二つになった。

その場にいた3人は少し青ざめ、それを見つめる。

まず最初に動いたのはホークアイだった。

「探して参ります。」

放っておけばいい。大佐はそう言ったが、彼女は心底呆れたような視線と深い溜息を零して黙って執務室を後にした。

次に動いたのはハボック。
「あーあ」と一人ごちながら割れたテーブルを擦っている。
ふと大佐に目を向ける、どうやらポーカーフェイスを崩さないつもりらしい。

煙草に火をつけようとポケットをまさぐっていると、いつもより少し低い疲れたような声が聞こえた。

「子供か?あれは…」

はぁ?何言ってんだこの人…。

「子供、ですよ?なんだと思ってたんです?大佐。」
職務とは別の少し砕けた口調で返してやった。

「大佐、あの子一体どんだけ座らせておいたんすか…」
忙しかったからな、と言い訳けしつつ2時間くらいか…とつまらなそうに言う。

「今日は大事な書類があるとかで大佐が呼び出したんじゃなかったでしたっけ?」
そりゃあ退屈で死にそうになっちゃいますよ。子供なんだから。

黙り込む大佐が何を考えているのかは判らないが、今回は少々大将が可哀想だと肩をすぼめて見せた。

あの気丈で賢い小さな子は波乱万丈あって、現在は国家錬金術師として在籍している。
ともすれば子供であることすら忘れてしまいそうになるような理知的な瞳、行動力。
大人でもできないような苦難に今も立ち向かい続けているのだ。
でもふざけあっておどけて笑う瞳は間違いなく歳相応のそれで…。


「あーあ、今頃大将泣いてるかもしんねぇなぁ〜」
わざと聞こえるように独り言を漏らしてやった。
考え込んでいる顔を見られないように椅子を回転させて窓を向く大佐を咥え煙草の口端だけで笑ってみせる。

動け動け、あんたは頭は切れるが大事なところが見えてないぞ?


忘れていたようにポケットからジッポを取り出し火をつけて、部屋を後にした。





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