エド子連載系
Romanticが止まらない act.3





奥にある執務室は想像していたより広く、簡素ではあるが良い調度品が置かれていた。
突き当たり窓際にある大きなデスクは大佐の机だろう。
終わりの見え無そうな夥しい数の未採決の書類が積み重ねてあった。

ゆっくり見るのは初めてで遠慮なくきょろきょろ物色を始めるエドワードに苦笑しながらロイは自分の椅子に腰掛けた。

ある程度の説明は先日銀時計を受け取った日にされていたし、これといって話す事もない。
「私はせめて今日の分までの書類をやってしまわないといけないから、君達はソファーにでも座っているといいよ。」

答えがないので兄弟を見ると本棚に釘付けになっていた。
焔の錬金術師でもあるロイの書棚には錬金術関連の蔵書もいくらかある。
目をキラキラさせてあれこれ言い合っている兄弟にふと目を細めて笑みを漏らした。

「好きなのを読んでいて構わないぞ。」

「ほんと?やったー!」「わぁありがとうございます♪」

本当に嬉しそうに笑う。
全く分野違いの本でもそんなに嬉しいものなのだろうか。末恐ろしいものだ。

ほくほくとしながら分厚い本を抱え、ソファーに腰掛けるとあとはページを捲る音しか聞こえなくなった。
熱い眼差し、集中力。手元の書類も忘れて思わず見とれてしまう。

少ししてお茶を入れて持ってきたホークアイが二人に声をかけたが返事を返したのは弟だけでエドワードは耳にも入っていない様子だった。

ふと有能な部下と目が合う。
その鋭い眼差しに気付くと慌てて書類に目を落とした。

エドワードが3冊目の本を読み終わって時計を見るともう少しで終業時間だ。
うーんと両手を挙げて伸びをする。
ちらりと横目で見るとロイもあと少しで今日の分だけは終わるというところだった。

名残惜しそうに書棚に目を向け、弟の読み終わっていた本を手にとってぺらぺらと流し見ていた。
カタンとペンを置く音に執務机のほうを見ると、終わったのか右肩に手をやってコキコキと鳴らすロイと目が合った。

「おっさん、あんたやりゃあできんじゃんか。中尉が可哀想だからそんくらい持続してやってやれよ。」

部下となったばかりの年端もいかない少年の辛辣な物言いにロイは右眉をピクリとさせると鼻で笑って応戦する。

「君のようなおちびさんと違って私は女性から引く手数多なのでね、早々仕事ばかり…」

エドワード的NGワードに立ち上がろうとした瞬間激しい破裂音と共に床から細く煙が上がる。
ホークアイの手には小さな愛銃が見事なポジションで構えられていた。

「仕事ばかり…なんでしょう大佐…」

あまりの恐怖に大きな身体を縮こませるアルフォンス、その膝の上にはちんまり乗って抱きついて震えるエドワードがいた。

青ざめる上司を尻目にロイが過去見たこともないような優しい笑顔で兄弟のほうへ近づき、飲み終わっていたカップを下げる。

「そろそろ行きましょうか。」

「「…はい」」

この人にだけは逆らってはいけない(本来上司にもいけないのだが)と肝に銘じるエルリック兄弟だった。





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