エド子連載系
Romanticが止まらない act.1





「に…にいさん…やっぱり行くのやめようよ…」
「はぁ〜?」

弟、アルフォンスの情けない声に素で返事してしまった。
何を言い始めるのか。せっかく国家錬金術師として認められ、初めての東方司令部への挨拶に行く直前のことである。

「僕色んな人に聞いてみたんだ、東方司令部の評判とか…」

元来優しい声色と言葉遣いで、厳つい鎧姿だと言うのにも関わらず人好きがする弟の本領を発揮したらしい。

「そしたらあの人!あの大佐さんの評判…あんなとこに姉…兄さんを行かせるの僕やだよ!」

思わず額に手を当て溜息。
一体どんな評判なんだと問い詰めると…


○女性の噂が絶えない
○いつも違う女性とデートしている
○女性の守備範囲は幼児からお婆さんまで
○手を触れられただけで妊娠するらしい
などなど

一通り調査内容を捲くし立てるとアルフォンスはエドワードのコートの襟を両手に掴みかかり引き寄せ小声になった。
「もし女だってバレたら妊娠させられちゃうよぉ」

興奮し過ぎて同年齢の平均身長を遥かに下回る小柄な姉をぶらぶらさせているのに気付かないのか、必死に説得していた。
一方まるでリトルグレイのような扱いをされながらもガックリと肩を落としたエドワードは機械鎧の左足で思い切りアルフォンスの腹部に蹴りを入れた。

ぐわんと空洞に響く音がし、我に返ったアルフォンスは丁寧にエドワードを下ろしてやる。

「上等だ!」

ボロは出さん。と男装の少女は勇ましく親指を下げた。

幼少の頃から幼馴染のウィンリィ、自分、エドワードの3人を比べてみても一番ガサツで乱暴で短気な姉だった。
面倒がって全身固形石鹸一個で洗っているし、お陰で髪はいつもごわごわだ。
相手が大人だとしても臆することなく殴りかかるし、腕も立つ。
いつも組み手をしていたアルフォンスが言うのだから間違いない。

でもそんな姉を弟はとても大切に思っていた。男としての意識が勝ってはいるが女性だと思って見るととても美しい顔立ちをしていたし、手入れさえされていないのにも関わらずさらさらの真っ直ぐな金髪だし。
傷だらけではあったが肌は真っ白で柔らかかった。

軍ってだけでも物凄い危機感を感じるのに、エドワードの上司は街でも(良くも悪くも)評判高いロイ・マスタング大佐その人なのである。
寒気など感じるはずも無い身体ではあったが、ぶるりと震えが走り凄く嫌な予感がしてならないアルフォンスだった。


心情を知ってか知らずか、エドワードはアルフォンスの尻の部分を軽く蹴り上げ歩き始める。

「あ 、待ってよ!兄さ〜ん!」

ガシャンガシャンと盛大に足音を立てて、苦悩の人アルフォンスは能天気な姉を追いかけ始めた。





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