2006年冬コミ発行
新刊『Lolita complex』より出だしのみ抜粋。
ちなみにこれはペーパーでも少しお配りしておりましたので読まれた方もいるかもです。






    ◆となりのおにいちゃん


「はじめまして、おれはえどわーど!」

 そう言って、優しそうな母親のスカートの影からひょこりと顔を出した幼子は、驚くほど警戒心の無い全開の笑顔で俺の腰に纏わりついた。

 空き家だった隣家が改築工事を始めたのは去年の冬。
 依頼された業者が出入りしなくなったのはまだ寒さの残る2月初旬の事だった。
 すぐに来るだろうと思われた住人の姿は、それ以降一向に見られず、不動産屋が売りに出すために改築したのかと思い始めた4月のある日、ぽかぽかと日差しも暖かく、おれ自身も一学年上になって心機一転頑張ろうなんて柄にも無く思ってしまうような午後、玄関先のインターフォンが鳴った。

 たまたま家に人がおらず、郵便か宅配便だろうと暢気に扉を開けた、その先に立っていたのは妙齢のご婦人で、初対面だというのを忘れてしまいそうになるほど屈託無く笑い手を差し伸べてくる。
 茶色の髪を緩く一つに結わき、小奇麗な、でも動きやすさを重視した白いブラウスにゆったりと広がるロングのフレアスカート。
 女性の守備範囲は同い年から熟女までを自負している俺は主婦ですと言わんばかりの格好の目の前の美しい女性に、これでもかと爽やかな微笑を湛えて同じように手を伸ばし、そっと握り締めた。

「初めまして、お隣に引っ越してきましたエルリックと申します。貴方はここの息子さんかしら?」
「はじめまして。」
「お家の方はいらっしゃる?」
「すいません、今外出してまして。」
「あら、そうなの?じゃあまた改めて来ますね。これ、お口に合うといいのだけど。」

 お菓子の詰め合わせだろうか。
 手渡されたそれは割とずっしりとくる箱だった。
 近所には無いがTVで良く見る有名な菓子店のロゴが可愛らしい。
 甘いものがあまり得意ではない俺も少し中が楽しみに思えた。

 礼を言い、箱を脇にあったシューキーパーの上に置くと、とても低い位置から、小さな声が聞こえてくる。

「おかしあげちゃうの?」
「ぼくそれだいすきなのに〜」
「おれもだいすきなのに〜」
「?」
「これ!エド、アル、出てきてちゃんとご挨拶なさい?」

 エルリック夫人は優しく、厳しくそう言うと、身体は俺に向けたまま腕を後ろにまわしてぐっと小さな何かを掴んで引きずり出す

「はじめまして!おれはえどわーど。」
「ぼくあるふぉんす!」

 短い自己紹介の後に声を合わせて「おにいちゃんのおなまえは?」と初めて見る金色の瞳をキラキラと輝かせ、俺の腰に纏わりついてきたのだった。

「お子さんですか?」
「ええ、そうなの。こっちの髪の長い子がエドワード。こっちがアルフォンスよ。」

 各々の頭をくしゃりと撫でながら、愛おしげな眼差しで見る姿は溢れんばかりの慈愛に満ちていた。
 はっきり言って親友からもお小言を貰う程女癖の悪い俺は普通だったらその白くて長い指先に見蕩れるはずだったのに、その時は何故か違っていた。

 目が離せないのだ。
 右側の腰にへばりついたまま離れまいとしている小さな少年に。
 肩まである髪はほんわりと柔らかそうで、まあるいほっぺに気の強そうなきつ目の瞳。
 兄弟とお揃いのオレンジ色のボーダーTシャツから出たぷにぷにとした二の腕。
 半ズボンから伸びた白いすべすべの脚。

 全部が金色に輝いて見えて、思わず天使かと思った。
 男の子なのが勿体無いほど将来が楽しみで。

「ねーちゃ、ねーちゃ、おにいちゃんせぇたかいね!」
「おう!おにいちゃんせぇたかいな!」

………『ねーちゃ』?

「エドワード…君…。」

 目を丸くして二人を交互に見詰める俺に、くすくすと笑いながら夫人は口を開く。

「男の子みたいでしょ?名前もエドワードだし。でも列記とした女の子なのよ。」

 女の子…オンナノコ。
 俺は胸の中を喜びで一杯にして何度も何度もその単語を反芻した。

「エドとアルは何歳?」

 内心の欲望をひた隠しにして、目一杯の笑顔で問えば。

「おれさんさい。」
「ぼくもこないださんさいになた。」
「年子なの。」

 とそれぞれが答えてくれる。
 舌ったらずでたどたどしい言葉が微笑ましい。

 十四歳差…。
 なんだ、そんなものか。
 どうせ五十になる頃にはそんなものどうでも良くなってるに違いない。
 ここに引っ越して来たのが幸か不幸か(間違いなく俺には前者だが)エドワードの未来は全部俺のものにすると心に決めた。
 変態?ロリコン?
 上等じゃないか。

 堕ちて来るのを待つような殊勝な性格ではないのだ。

 今でもこんなに可愛くて美しいのに、大きくなったら大変なことになってしまう。
 その為には今から俺のものにしてしまうに限ると真剣に思った。

 弟も母親も既に視界にはなく、俺の目にはエドワードだけがこの世の色彩のように思えていて。
 この子がいなくなったら世界の色は無くなってしまうのではないだろうかとさえ思える程の、本物の恋慕。
 まだ高校生であるにも関わらず、このルックスのお陰で女が絶えた事が無い。
 初めてセックスしたのは十三歳の頃で、引っ越して行ってしまったが近所のOLのお姉さんだった。
 今までがあまりにも女に不自由せず、だらしない生活だったせいか、恋心などというものは経験が無く(これが親友に嫌な目で見られる最大の理由だ)目の前がぱぁと明るくなった感じ。
 なるほど、ヒューズよ…これが貴様の言う恋ってやつか!
 俺は開眼した。
 迷う事無くこの愛に一生を捧げると誓う!

 ブレザーを脱いだだけの制服姿だった俺のワイシャツをぎゅっと握り締める小さな手をそっと取り、俺は玄関に膝をつく。

 指先にちゅっと音を立てて口付け、ちらりと視線を上げれば呆然と俺を見詰める大きく見開かれる零れんばかりの金色。

「俺の名前はロイ。ロイ・マスタング。」
「ろい…にいちゃ?」

 このキスの意味もまだ解らないのだろう。
 今まで付き合ってきた女たちなら十中八九夢見心地な表情をするものだが、ぽかんと口を開くばかりだ。
 その瑞々しい唇が愛らしくて、俺は思わず自分のそれを押し当てた。

「あらあら、エドワードったらモテモテね♪」
「ねーちゃをはなせー!」

 とぼけた母親のコメントと、ぽかすかと痛くも無い攻撃を仕掛け始めた弟を完全無視して二人だけの世界を作る。

「俺とお友達から始めようね?」
「なにはじめんだ?」
「はじめないの!ばかーおにーちゃばーか!」
「あらいいじゃない、いきなり恋人同士でも!うふふ♪」

 その後、この姉弟は俺の家に自由に行き来するようになる。
 来るのは姉だけで構わないのだが、何分幼いから俺への警戒心を解くためにもそれでいいと思った。
さて、この子の全てを俺のものにできるのは一体何年先だろうか。

 暖かな春の日差しの中、とある恋物語の始まり。








と、こんな感じで一見普通っぽく。
でも書いたの私だし、途中から段々様子がおかしくなってきます(爆)
おしっこプレイ万歳。

2006/12/17 pana

ご指摘を頂いた箇所は同人誌では修正してあります。
ていうかまんまモノを載せれば良かったかしら(爆)
ご指摘くださった方ありがとうございましたv
大感謝です〜!

2006/12/27 pana








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